第3話 雑誌ってヤツは。(3)

これまで何冊もの雑誌を立ち上げてきたが、
その経験から立ち上げの激務を知り尽くしている。
体力的につらいのはまだしも、精神的にかなりやられる。

“涙が出ちゃう”くらいのあの日々を送るのかと思うと、
どうしても二の足を踏んでしまう。
それでなくても日々激務に追い回されているのは、
おそらくタメ年諸君ならわかってもらえるだろう。

立ち上げるということは、現状の激務に仕事を上積みすることにもなるから、
そりゃあ二の足どころかできればやりたくないというのも本心である。

逃げ腰で弱虫の俺、Aクンが言う。
「外したらどうすんだよ。しかもこの出版不況だよ」
とか、
「もう若くないんだからさっ、あの激務はホント死ぬよ」
とか、次から次へと俺をラクな方に引っ張ってくれる、ある意味いいヤツでもあるな。

一方、自分がおもしろいと思ったアイデアは
なんとしても具現化したいと燃える、アクティブなBクンもいる。
メラメラメラ。
メラメラ。
メラメラメラ。
Bクンは熱いぜ。

07年の秋から始まったAクン対Bクンの闘いに、
やっとこさ終止符をつけたのは
お正月というシチュエーションであった。
2009年元旦、寝坊してちょっと高く上がってしまった初日に
「今年こそやったるぜー」
と誓うBクンにAクンはつぶやくのだった。
「やれやれ、雑誌ってヤツは」
そう、AクンBクンに共通しているのは、雑誌が大好きなことだ。

さまざまな仕事との兼ね合いをすり合わせ、
10月に発行することを決定できたときには、
さわやかな5月の風が吹いていた。

このコーナーでは
創刊へ向けて進行している現在と過去を交えながら、
日々の苦悩と喜びを綴っていこうと思う。

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