『Born in the U.S.A.』のライブDVD。

つい先日のこと、10日発売の vol.69 (すごいよーっ) の締め切りを無事終えて、今宵の焼酎はブルース・スプリングスティーンを肴に楽しもうかと、CDラックの “B” コーナーを物色した。定番の『明日なき暴走 (Born to Run)』はグッと我慢して、2014年リリースの『High Hopes』を選んだ。というのも、ライブラリーにありながら聴いた覚えがない。中高生の頃なら考えられないことだが、一枚のアルバムを購入するハードルが低い分楽しみ方も軽くなっていたりするのだ。いかんいかん。

 

で、これも記憶になかったのだが、初回生産限定盤には『Born in the U.S.A.』の全曲再現ライブDVDが付いている。うーむ、これも観た覚えがない。不意に宝物を見つけた気分でプッシュプレイだ。2013年のロンドンでのライブだとクレジットされていて、野外スタジアムの開放感の中で「ワン、ツー、スリー、フォー」で始まるタイトルチューンは実に久しぶりに聴いた。一瞬にしてあの頃にタイムスリップだ。

 

1949年生まれの彼だから、64歳の頃ということになる。だがそのど迫力の声に年齢が信じがたく、ルックスも『Born to Run』の頃のような精悍さはないものの、やはり64歳にはぜーんぜーん見えないほど若々しく、衰えをまるで感じさせない。盟友のサックスプレーヤー、クレランス・クレモンズの姿がないのがさみしいが、ジェイク・クレモンズと紹介されてビックリだ。息子さんかなと調べてみると甥っ子とのことだ。彼を含むEストリート・バンドの演奏も強力で気持ちよかった。

 

彼との出会いは『ダイヤトーン・ポップス・ベストテン』にランキングされた『The River』からのシングル「ハングリー・ハート」だった。中3の頃だからだいぶ洋楽のことを学んでいて、ものすげーロッカーという知識とはかけ離れたポップチューンに感じてしまい好きなミュージシャンリストに入らなかった。が、後追いになる。1975年発表の『Born to Run』に出会って虜になり、あらためて『The River』を手に入れ、さらに古いアルバムを掘っていった。前述した高熱にうなされて、僕は高校時代に相棒をストラトキャスターからテレキャスターに変えた。ローリング・ストーンズのキース・リチャーズの影響と半々ミックスであり、そのとおりにブラウンとナチュラルの2本を所有している。

 

だがアルバム『Born in the U.S.A.』によって、僕のブルース・スプリングスティーン熱は40度を超える重症から、38度4分ぐらいに下がった。なぜ当事これほどまでに熱を下げられたのかを、ライブを聴いてあらためて鮮明に思い起こされた。キレイになっちゃったのが僕のブルースから外れたのだ。タイトルチューンや「ダンシング・イン・ザ・ダーク」に当時は強くそう感じさせられたが、あらためて触れてみればバカバカしい若気の至りでしかなく、アルバムへの嫌なイメージは氷解した。って、7年前に感じろよっ!!
 

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