日本人ならみんな大好き、いやいや、苦手な方も結構いるな。炊きたてのご飯に卵と醤油のみのシンプルながらごちそうである。お醤油の国でよかったなあと幸せになる。ちなみに僕は小さな造り醤油屋さんの取材をしたことがあり、それは造り酒屋とともに発酵ならではのご苦労があり、本来は自然に任せなければならない。流通している醤油には発酵過程で温度を上げたり、添加物で発酵を早めたりしているものも少なくないとのこと。そんなことを一切排除するから、何倍もの時間をかけて出荷する。だから高いのだと主張された。そしてこう続けるご主人だった。「醤油の5合瓶を使い切るのにどれだけかかるか考えてほしい。500円高いとしても、1回の使用料で換算したらどれだけのものか」と。実はこれ、以前塩田の取材で、うまくて甘い塩の生産者からも同じことを言われた。この塩一袋使うのに、どんなに無駄遣いしても半年はかかるだろうと。そして人間の体は塩と水がベースでできてるのだから、精製塩じゃかわいそうだと。てな訳で、我が家の塩と醤油、加えて酢は少々値の張るものを使っているのさっ。本気の取材で諭されたことを厳守するのは、取材者としての誠意だと考えている。
で、本題の卵ご飯である。僕は生卵はきちんとかき混ぜない派 (!?) だ。牛丼でもそうだが、まんま投入してサクサクと食う。滅多にお目にかかれないすき焼きでも、黄身を割っただけの状態でつける。卵ご飯もかつてはそうだった。ご飯の真ん中に穴を開けて割り入れて、醤油をささっとかけて崩しながらいただく。ああ至福とうっとりしていたが、まさに革命が起こったのだ。
朝の情報バラエティで、白身をメレンゲにしてご飯と合わせ、黄身を中央に落として出すのが紹介されていた。「うまそー」とはいえ、僕がご飯粒を食うのはほぼ朝だけであり、メレンゲにする時間の余裕なんざない。そこでシンキングタイム、ちーん。炊きたての熱々に白身だけを入れてぐちゃぐちゃぐちゃ。白身だけでほんの10数秒混ぜる。メレンゲとはいかないまでも、なんとなくふんわりしたらよろしいっ。で、黄身を乗せれば写真のように完成だ。黄身は得意の混ぜない戦法でサクサクといただくと、うーむ、これまでの人生は損していたと思う。
前述した卵かけご飯が苦手な方の多くは、白身のニュルッとした感じがダメだと言う。そんな貴兄はだまされてみてくだされっ。熱々の米粒をコーティングした白身にニュルッは残っていない。ふんわりだ。そして、香り高い醤油がどんなごちそうよりも高いステージへと運んでくれる。至福の時間を、あなたもぜひっ!!