ヴィンテージアロハシャツの起源と歴史 (その1)
ヴィンテージアロハシャツの復刻を手がけるサンサーフが所蔵する、歴史的な価値が高い貴重なヴィンテージコレクションから7つのアイテムを厳選。それぞれが残した功績をとおして、アロハシャツの奥深いヒストリーをひもといていこう。
(『昭和50年男』本誌 2021年 9月号/vol.012 掲載
“ファッション狂騒曲”「アロハシャツのカルチャー徹底解説」より 抜粋 )
1930年代後期に作られ、現存する個体に出会えることは奇跡に近い!
歴史的価値が飛び抜けて高いのはコレだ !!
ブランド名: アロハ・バイ・キングスミス
アロハシャツの黎明期に正統の地位を獲得した銘柄
「アロハシャツ」という言葉を商標登録したエラリー・チャンが経営する雑貨店、キング・スミス・クロージアーズのオリジナルブランド。掲載の品は、1936年に和装の反物を使ってテーラーで仕立てたものだ。襟から前立てにかけてつながったステッチなど、大量生産品とは違った仕様が見られる。
リネンシャツやボタンダウンシャツのように、この世に存在する○○シャツの○○には生地やディテールの名称を入れておくのが常だ。なのに、“アロハ” シャツとは何ごとか。異端児すぎるではないか。ほとんどの人は、「アロハってハワイの挨拶でしょ?」といった認識でいるだろう。だが、実は違っている。アロハは、「Akahai=思いやり」「Lokahi=調和」「‘Olu ‘olu=喜び」「Ha ‘a Ha ‘a=謙虚」「Ahonui=忍耐」という5つのハワイ語の頭文字を組み合わせたものとされる。単なる「こんにちは」ではない。そこには、自然や他者に対する愛や尊敬、親切心、助け合い、寛容の意味が込められている。そうした前提に立ったとき、アロハシャツは異端児から愛すべきものに変わる。
エール大学卒の秀才が1930年代に商標登録
このアロハシャツという言葉は一般名詞として広く使われているが、実は商標登録されていた歴史がある。エール大学の経済学部を卒業した1931年にハワイへ帰郷し、中国系移民の父が開いていた雑貨店を継いだエラリー・チャン。彼によって1936年 7月15日に商標登録の申請書が提出されている。
当時、すでにアロハシャツという商品名は他の店でも使われていたので、この言葉自体はエラリー・チャンの発明ではない。1929年の大恐慌から続く景気後退の影響で不振にあえいでいた店を盛り返すべく、賢い彼が機転を利かせたのだ。アロハ・バイ・キングスミスは、チャンが経営する店のオリジナルブランドであり、アロハシャツとして正統な銘柄となったのだ。
→ 次回 (その2) へ続く
取材・文: 國領磨人 撮影: 西谷圭司 取材協力: 中野喜啓 (サンサーフ)
掲載アイテムに関するお問い合わせ: 東洋エンタープライズ
8月11日(水) より発売中!『昭和50年男』2021年 9月号/vol.012
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